Course Lecture: “The Theory and Practice of ESG Integration”— Has the COP Changed the World?
特別講義「ESGインテグレーションの理論と実践」— COPは世界を変えてきたのか
(2026年5月22日)
2026年5月22日
2026年5月22日、特別講義「ESGインテグレーションの理論と実践」の一環として、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)プリンシパル・シナジー・コーディネーターの藤野純一氏を、ESG-IRECの招へい教授として迎え、「COPは世界を変えてきたのか」について講義頂きました。本講義は、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する理論とその企業実践を学ぶことを目的としています。

今回は、国連気候変動枠組条約(正式名称:気候変動に関する国際連合枠組条約、UNFCCC)締約国会議(以下、COP)に2005年から継続して参加され、気候変動へのさまざまな政策的取組みおよび脱炭素社会の推進において第一人者としてご活躍をされている藤野氏から、「COPは世界を変えてきたのか」という問いを中心にご講演頂きました。COPの歴史のみならず、国際制度が実際に社会をどこまで動かせるのかについて考える貴重な機会となりました。
授業内では、受講生同士のディスカッションとして、藤野氏から提示された「科学が決められること・決められないこと」というテーマについて議論を行いました。藤野氏は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が科学的知見を評価し、政策形成の土台を提供する一方で、最終的な選択は「価値と責任の配分」をめぐる政治や社会によって決定されると説明されます。その上で、各国の合意形成を実現するためには何が必要かという問いに対し、現在のCOPでは、単に目標を掲げるだけではなく、「誰が負担し、どのように支援し、どのように実施するのか」が中心的な論点となっていることが紹介されました。
そもそも、気候変動にかんしては、途上国の対策・適応・移行を支える前提として、歴史的に多く排出してきた国の責任を考慮する必要があることを藤野氏は強調されています。特に、海面上昇による深刻な被害に直面する国の切実な状況についても言及がありました。さらに、毎回のCOPでの交渉は、化石燃料をめぐる二酸化炭素排出削減のみならず、「経済・雇用・安全保障・公平性」といった多面的課題を含むものであり、その交渉の複雑さについて理解を深める機会となりました。
加えて、COPへの若者参画についても議論が行われました。藤野氏は、未来世代の利益を現在の交渉へ反映させることが重要であり、若者が真に意思決定プロセスへ参画できるよう支援していきたいと述べられました。
最後に、藤野氏は受講生らに対し、「あなたが一国の交渉官なら、何を守り、何を譲るか」との課題を投げかけられました。学生たちは、自らが交渉の当事者になった立場から、それぞれの国家の政治的・経済的な内情を踏まえたうえで、譲れない一線を真剣に考えました。COPにおいて、立場の異なる国々が何を守り、何を求めるのか。COPを単に各国が利害をぶつけ合う場とするだけではなく、国際社会全体にとっての公共利益に向けた合意に向けて最善を尽くす場であるべきことも含め、本講義は受講生にとって極めて有益な学びの場となりました。









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