特別講義「ESGインテグレーションの理論と実践」の2024年度総括ディスカションの開催(2025年1月23日)
2025年1月24日
ESGインテグレーション研究教育センター(ESG-IREC)が本学の法学部と大学院国際公共政策研究科に提供する特別講義「ESGインテグレーションの理論と実践」(全15回)の2024年度授業の最終日を迎えた1月23日、星野俊也本センター共同代表の司会の下、リアルタイムで、ジュネーブやロンドン、東京から参加するこれまでの回の担当教員と本学とをオンラインで結ぶ総括ディスカッションが開かれました。
教室では、折しも授業の3日前の月曜日(1月20日)に米国でトランプ大統領が政権に復帰し、この授業で学んできた「ビジネスの成功」と「環境・社会課題解決」の両立・循環を目指すという「ESGインテグレーション」モデルが、数々の「反ESG」の大統領令への署名(パリ協定脱退、化石燃料増産、EV義務化取り消し、DE&Iの否定、など)によって真っ向から否定されたことを受けて、ESG経営やESG投資の今後をどう見るか、といった話題も取り上げられました。
教員は、それぞれの専門の立場から、欧州から見れば「米国イコール世界」ではないこと、ESGは正念場を迎えるが、新たな機会の時にもなりうること、あるいは短期的には揺り戻しがあっても中長期的にESGの流れが変わるものではないといった見解、そして、日本の企業がかかる変化のなかで新たな機会を捉えることへの期待などを述べました。星野共同代表からは、授業の理論編で指摘したように、「ESG」という言葉には政策の名称と分析の概念の2つの側面があり、前者に対する風当たりが強くなることがあっても、後者に関して掲げた7つの視点(サステイナビリティ、バック・キャスティング、トランスフォーメーション、クリティカル・マス、プラネタリー・バウンダリー、グローバル・ガバナンス、エージェンシー)から分析する「ESG資本主義」の今後の展開を見極めていく重要性に変りがないことを強調されました。
質疑応答で、学生からもESGとの関連でトランプ大統領の就任演説を聴き感じたことに加え、米国の歴史における孤立主義の伝統や米国のリーダーシップに依存する課題などの指摘、さらにはテレビタレントの中居正広さん問題とフジテレビのガバナンスの在り方などへの質問が出されました。
授業は、登壇された教員から受講生へのメッセージで締め括られました。
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ESGの基礎を学ぶ本授業「ESGインテグレーションの理論と実践」は、2025年度は春夏学期に開講します。また、秋冬学期には、その応用編として、企業現場でのESGの取組みに焦点をあてる「ESGが変える企業戦略」を引き続き日本経済新聞社との共同で開講します。