Special lecture “ESG Impact on Business Strategies”

特別講義「ESGが変える企業戦略」の最終回

2024年7月30日

2024年7月26日、ESGインテグレーション研究教育センター(ESG-IREC)が日本経済新聞社と共同で開発・企画・運営している授業、特別講義「ESGが変える企業戦略」の最終回(第15回)を迎え、授業の総括として「日本企業がESG資本主義をリードする条件は」と題するパネルディスカッションが開かれた。最終回では、各授業の進行を担当した日本経済新聞の清水美宏招へい教員がモデレーターを務め、国際連合システム合同監査団(JIU)の監査官としてジュネーブの国連欧州本部に赴任している星野俊也ESG-IREC共同代代表、赤井伸郎教授、髙佐知宏招へい教授、有江ディアナ特任助教が登壇し、授業全体を振り返りながら学生からの質問に対し、それぞれの専門分野に基づき回答した。

本授業の目的は、受講生がESG要素を理解したうえで企業活動におけるESG導入の意義を議論・評価でき、企業で進んでいる具体的な取り組みの有効性を批判的・創造的に分析・評価し、最終的には、国際公共政策学の観点から持続可能な社会の実現に向けた企業活動や投資におけるESGの制度設計や政策形成に提言ができることであり、その達成に向けて、既存の社会課題とESGの相関関係を分析する「社会課題編」、既存の社会課題や日本を代表する企業・業界の個別事例を深掘りする「事例分析編」、さらに海外の先進事例や新たなビジネス展開を検証する「応用編」の3編構成で授業を進めてきた。

パネルディスカッションの最後には、本授業の意義と受講した学生に向けたメッセージが述べられた。赤井教授は財政学の観点から見ると、ESGや環境によい取組みをさせるために政府は制度を構築し規制をかけ、補助金を出し、企業はそれを利用して取組むけれども、それだけでは足りない。さらによくしていくためには、人々が行動を起こし、環境によい行動をしている企業を応援していく、つまり、政府と企業と人々が全てよい方向を向いて頑張らないとよい社会に繋がらない。今回のように、政治・経済・法律と色んな分野から、ESGという一つのテーマを議論できることはまさに国際公共政策学の特徴であり、この授業を通じて学べたことは今後の社会に生かしてほしいと、学生らにエールを送った。さらに、星野共同代表もまた、日本経済新聞社と一緒に授業を共同で実施する本授業の「贅沢さ」として、本授業で「ESG資本主義」論を展開するなかで、学問的な側面とジャーナリストの批判的な視点も含む実践的な視点とを結びつけて企業戦略のさまざまな課題について多角的に見ることができた点を高く評価した。加えて、本授業を受講した学生には、民間企業か公的機関かにかかわらず、幅広い国際公共政策の視点でESGの実践とそのインパクトについて引き続き考えて行ってほしいとの期待を述べた。

本授業は、企業現場でのESGの取組みに焦点をあてて進められたが、ESGの理論的なことを学べる授業「ESGインテグレーションの理論と実践」が秋冬学期に開講される。

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