特別講義「ESGが変える企業戦略」の2年目がスタート!
(春夏学期・毎週金曜日4限・15:10-16:40)(2024年4月12日)
2024年4月12日、特別講義「ESGが変える企業戦略」が本年度もスタートした。本授業は、ESGインテグレーション研究教育センター(ESG-IREC)が日本経済新聞社と共同で開発・企画・運営しており、毎回、国内外で豊富な取材経験を持つ日本経済新聞社の編集委員や専門記者らを招いてオムニバス形式で実施する。
初回の授業の冒頭では、授業を担当する教員の1人で現在、国際連合システム合同監査団(JIU)の監査官としてジュネーブの国連欧州本部に赴任している星野俊也名誉教授(ESG-IREC共同代表)が、オンラインで登壇し、国際公共政策の観点からSDGsとESGのつながりや、ESGが企業戦略に与える変化を日本経済新聞社のジャーナリストたちと共同で掘り下げるこの授業の特徴を紹介した。「企業の行動が変われば世界が変わる。そんなふうに思いませんか?」と問いかけた星野教授は、私たちの生活がたくさんの企業製品、パソコン、スマートフォンやコンビニエンスストアに囲まれていることに言及し、ESGを導入した経営や投資が進めば企業が営利を追求し、経済のリターンを得るのと同時に自動的に環境へのリターンや社会へのリターンも生み出されるような「仕掛け」になっていることを概観した。星野教授は、世界がいま地球規模・人類単位の課題を解決する上での大きな分岐点にあることを改めて指摘し、この授業の核心となる、企業のビジネスの成功とより持続可能で包摂的、公正な世界の構築との両立や循環を可能とするESGの可能性や意義を強調した。
また、本授業の進行を担当する日本経済新聞の清水美宏招へい教員は、次週から本格的に始まる本授業に関するプロローグを語った。本授業では、アカデミズムとジャーナリズム双方の観点から、企業のESG導入について異なるアプローチを用いるが、「世の中を良くしよう」、「人のためにやろう」、という目的が同じであることを強調した。また、学生にとって身近で、関心の高い、就職活動の場においてもSDGsやESGが関わっていることに触れ、SDGsやESGを意識している企業を就職先に選ぶ就活生が増えているという実態が紹介された。
本授業では、ESGが企業戦略に及ぼす変化をよりよく理解するために、①企業・業界は2030年(SDGsの年限)にどのような姿になっていなければならないか(トランスフォーメーション)、②2030年から逆算した場合の現在地は、そしてそのギャップを埋めるには(バックキャスティング)、③カギを握る技術や素材は何か、企業・業界に必要なゲームチェンジとは(ゲームチェンジ)、④企業・業界の変革により、人々暮らしや社会環境は地球規模でどう変わるか(意識変革と行動転換)、⑤どうすれば日本はルールメークを主導する、またはルールメーキングに参画することができるのか(ルールメーキング)という5つのポイントを取り上げ、次回以降、具体的な社会課題や事例分析、応用トピックなどにつなげていく。
本授業を通じて、受講する学生は、ESG要素を理解したうえで企業活動におけるESG導入の意義を議論・評価でき、企業で進んでいる具体的な取り組みの有効性を批判的・創造的に分析・評価し、最終的には、国際公共政策学の観点から持続可能な社会の実現に向けた企業活動や投資におけるESGの制度設計や政策形成に提言ができるようになることが期待されている。
2024年4月12日