テリ・タンザニア投資センター総裁らとの情報交換会の開催
(2024年5月30日)
2024年6月5日
2024年5月30日、ESG-IRECは、タンザニア投資センター(TIC)のジレッド・テリ総裁らのご来日の機会を捉え、大阪大学中之島センターにて、産学連携を通じた科学技術イノベーションが国連で合意された持続可能な開発目標(SDGs)の達成を含む、持続可能な世界の構築の加速化に資する役割やESGに根差したタンザニアとのビジネス連携の可能性などについての意見交換を行った。
タンザニアは、アフリカでも有数の観光資源を持つ国として知られているが、人口はすでに6200万人に迫り、アフリカ大陸では第5位、世界も第3位の高い人口増加率で推移(2022年国勢調査)するなか、現在、積極的な外資の誘致とそのためのビジネス環境改善を進めている。今回、東京と大阪でタンザニア投資セミナーを調整した国連工業開発機構(UNIDO)は、同国が日本企業にとって大きな市場となるばかりでなく、東アフリカのハブとしても有望な国となっていると位置づけている。そこで、ESG-IRECとしては、国際協力という枠にとどまらず、企業のビジネスの成功と持続可能な未来の形成に向けた課題解決の両立・好循環を実現する望ましい「ESGインテグレーション」モデルをタンザニアにおいて実践していく意義を踏まえ、テリ総裁を囲んでの情報交換会を実施することとした。
冒頭の挨拶でESG-IRECの星野俊也共同代表は、大学には革新的な科学技術イノベーションを生みだす社会的役割があり、かつて日本の近代化をリードした人材を輩出した伝統を持つ大阪大学の研究者たちは現在、商都・大阪ならではの産学連携の推進により私たちの世界が直面するさまざまな課題に最先端の「解決策」を提示していることに触れ、タンザニアを含む世界において、ESGの推進による持続可能な開発目標(SDGs)の達成を通じ、持続可能な環境のなかで人々の健康とウェルビーイングが促進されていく意義を強調した。
情報交換の一環として、同席した本学大学院薬学研究科の井上豪教授からは、内閣府が主催する第6回日本オープンイノベーション大賞の最高賞である内閣大臣賞を受賞した「安全な酸化剤による革新的な酸化反応活性化制御技術の創出」取組の成果であり、ESGインテグレーションに基づく産学連携の実践例ともいえる「要時生成型亜塩素酸イオン水溶液(MA-T)」を用いた除菌・消臭剤が紹介された。同教授は、また、同じくMA-Tシステムを活用してメタンガスを液体燃料であるメタノールと水素製造原料になるギ酸に転換する社会実験の最新情報にも言及し、来年の大阪関西万博や第9回アフリカ開発会議なども視野に入れ、出席者との間で活発な意見の交換や質疑応答が行われた。
会合の最後には、星野共同代表より、日本とタンザニアのビジネス交流や持続可能な未来のためのさらなる情報交換や具体的な連携に向けての期待が寄せられた。
本会合には、テリ総裁以下TICのご一行に加え、バラカ・ハラン・ルヴァンダ駐日タンザニア大使や鴻池一季名誉領事、国連開発計画(UNDP)の小松原茂樹タンザニア常駐代表、UNIDO東京事務所の今津牧プログラムマネジャーほかの臨席を得た。ESG-IRECからは田畑彩生招へい研究員と有江ディアナ特任助教が参加した。